こんにちは!住まいのDIYアドバイザーの設楽です。
「蛇口からポタポタ水が漏れてる…」「給水管まわりのナットが緩んできた…」「洗面台の水栓を自分で交換したいけど、何を揃えればいいかわからない」——そんなお悩みを抱えて、このページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
長年、住宅設備の現場に携わってきた私がいつも感じるのは、「工具さえちゃんと揃っていれば、自分でできたのに」という場面が本当に多いということです。逆に言えば、基本の工具セットがあれば、水栓のパッキン交換から蛇口の本体交換、ちょっとした棚の取り付けまで、住まいの設備まわりの大半のメンテナンスは自分の手でこなすことができます。
この記事では、私が20年以上の現場経験の中で「これだけは絶対に持っておくべき」と断言できる基本工具を、用途・カテゴリ別にわかりやすく解説します。工具の選び方のコツや、安全に使うための注意点もあわせてお伝えしますので、ぜひ最後まで読んでみてください。さあ、一緒に「住まいの自分でできた!」を増やしていきましょう。
目次
そもそも、なぜ「工具選び」が重要なのか
工具は「安ければいい」というものではありません。かといって、最初から高価なプロ用品を揃える必要もありません。大切なのは「用途に合った、適切な品質の工具を選ぶ」こと。これが、DIYの成功率と安全性を大きく左右します。
精度の低い工具を使うと、ナットやボルトの角をつぶしてしまう「なめる」という現象が起きやすくなります。いちど角がつぶれてしまうと、それだけで修理が格段に難しくなり、結果的に業者に頼むはめになることも。「安物買いの銭失い」とはまさにこのことで、特にモンキーレンチとドライバーは品質で妥協しないことを、現場経験から強くお伝えしたいです。
それでは、実際に揃えてほしい工具を、カテゴリ別に見ていきましょう。
【カテゴリ1】計測・確認工具 ——まず「測る」「確認する」道具から
コンベックス(メジャー)
DIYで最も使用頻度が高い道具のひとつです。蛇口やホースの長さを測るのはもちろん、新しい設備機器を取り付ける前のスペース確認にも欠かせません。5〜7m程度のものを1本持っておけば、住宅設備まわりの作業にはほぼ対応できます。
選ぶポイントは、目盛りが見やすいこと、ロック機能があること、ストッパーがしっかりしていること。コンベックスは消耗品なので、ホームセンターのプライベートブランドでも十分です。
検電テスター(非接触型)
「これは電気系の工具だろう」と思うかもしれませんが、住宅設備のDIYにも意外なほど出番があります。コンセントまわりの作業をするときや、電気温水器や食器洗い乾燥機のセルフ確認に使う場面があるからです。
非接触型の検電テスターなら、直接電線に触れずに通電を確認できるため安全性が高く、価格も1,000〜2,000円程度から入手できます。「電気に関する実際の工事」は第二種電気工事士の資格が必要ですが、「通電の確認」だけなら誰でも行えます。安全確認のために1本持っておくことを強くおすすめします。
【カテゴリ2】締める・緩める工具 ——水回りDIYの主役たち
住宅設備DIYのメインフィールドは、なんといっても水まわりです。このカテゴリの工具が充実していれば、蛇口交換・パッキン交換・止水栓の調整など、日常のトラブルのほとんどに対応できます。
モンキーレンチ(200mm〜300mm)
水回りDIYにおいて、これ1本で「ナット・ボルトの締め付けと緩め」のほぼすべてをカバーできる、最重要工具です。下あごを動かすことでサイズが調節できるため、さまざまな口径のナットに対応できます。
選ぶ際の最重要ポイントは「ガタのなさ(精度の高さ)」です。上あごと下あごを合わせた状態で左右にカタカタと振ってみてください。高精度なものはほとんど遊びがありません。ガタがあるものはナットの角をつぶしやすいため、300〜500mm程度のものを2本持つより、200〜300mm程度の精度の高いものを1本持つほうが断然おすすめです。
また、狭い場所での作業が多い水まわりでは、短めのコンパクトタイプも1本あると重宝します。
ウォーターポンププライヤー(250mm)
蛇口のナットや大きな部品を掴むのに使う、開口部の広いプライヤーです。5段階に開口部が調整できるタイプが一般的で、大口径のナットや水道管まわりの部品をしっかり掴むことができます。
注意点として、ギザギザの溝が付いているものは、仕上がりのきれいなメッキのナットを掴むと傷つけてしまいます。メッキ部品には必ずモンキーレンチを使い、ウォーターポンププライヤーは「見えない部分や、強い力が必要な箇所」に限定して使うのが、プロの流儀です。
立水栓締め付け工具(水栓レンチ)
キッチンや洗面台のシンク下は、スペースが非常に狭いです。通常のモンキーレンチが入らない場所で、水栓本体をシンクに固定しているナットを締め付け・取り外しするための専門工具が、この立水栓締め付け工具(水栓レンチ)です。
「蛇口を交換する予定がある」という方には、最初から揃えておくことを強くおすすめします。三栄水栓などのメーカーから、1,500〜3,000円程度で販売されています。これなしで水栓交換に挑戦しようとすると、作業がまったく進まないことが多いです。
ドライバーセット(プラス・マイナス各種)
当たり前すぎて忘れがちですが、ドライバーはとても重要です。止水栓を調整するマイナスドライバー、蛇口ハンドルのネジを外すプラスドライバーなど、住宅設備の作業では頻繁に登場します。
揃えるべきサイズは次の通りです。
- プラスドライバー #1(小)、#2(中)、#3(大)
- マイナスドライバー 細め(2〜4mm)と標準(6mm前後)
特に、シンク下の止水栓を操作するときは「短いマイナスドライバー」が必要になる場合があります。通常の長さでは奥に当たって回せないことがあるため、全長85mm程度の短いタイプも1本持っておくと安心です。
シールテープ
厳密には工具ではありませんが、水栓交換には絶対に必要な消耗品です。壁付き蛇口の配管ネジ部分に巻きつけることで、ネジ山の隙間からの水漏れを防ぎます。巻き忘れると100%水漏れが起きるため、「水まわりDIYに必須の道具」として必ず揃えておいてください。
巻く際のポイントは、ネジの先端から2つ目のネジ山から時計回りに5〜6回、軽く引っ張りながら隙間なく巻くことです。1本100〜300円程度と安価なので、予備を含めて複数本ストックしておきましょう。
【カテゴリ3】電動工具 ——あると作業効率が段違いの「相棒」
ここからは、購入費用は少しかかりますが、一度手に入れると作業の世界が大きく広がる電動工具です。
充電式ドリルドライバー(10.8V〜18V)
住宅設備DIYの電動工具は、まずこれ一択です。コンセントへのビス止め、棚の取り付け、設備機器の固定など、あらゆる場面で活躍します。
インパクトドライバーと迷う方も多いですが、設備系DIY初心者にはドリルドライバーの方が向いています。理由は「トルク調整のクラッチ機能がある」からです。インパクトドライバーはパワーが強すぎて、住宅設備まわりの繊細なネジ締めでオーバートルクになりやすいです。ドリルドライバーなら、一定のトルクに達したら自動的にビットへの力が伝わらなくなるため、ネジをなめたり、部品を破損したりするリスクを大幅に下げられます。
電圧は10.8V〜18Vのものが家庭向けDIYに最適です。マキタやHiKOKI(ハイコーキ)など国内大手メーカーのものであれば、バッテリーの互換性も高く、将来的に工具を買い足すときにも便利です。
【カテゴリ4】プロも使う「地味だけど大事」な工具たち
六角レンチセット(L字型・ボールポイント付き)
レバータイプの蛇口や、各種設備機器の固定部分に使われている六角ボルトの締め付け・取り外しに使います。セットで販売されているものを一つ持っておけば、サイズ違いで困ることはほぼありません。
ボールポイント付き(先端が球状になっているタイプ)は、斜めからでも操作できるため、狭い場所での作業に非常に便利です。
ラジオペンチ・ペンチ
細かい部品を掴んだり、固着したパッキンを取り外したりするときに活躍します。水栓を分解して内部のパッキンを交換する作業では、パッキンが固着していて指では外せないことが多く、ラジオペンチの出番になります。ペンチはワイヤーや細い金属の切断・曲げにも使えるので、1本あると何かと重宝します。
ハンマー(玄翁・ゴムハンマー)
ビスを打ち込んだり、固着した部品に軽い衝撃を与えて緩めたりするときに使います。住宅設備まわりでは、固着して外れなくなった接続部分に「コンコン」と軽く叩いてショックを与えるときに活躍します。
ゴムハンマーはメッキ面や仕上がり面を傷つけずに力を加えられるため、設備DIYには特に重宝します。金属製のものと両方持っておくのが理想的です。
パイプカッター
塩ビ管や銅管など、配管を切断するための工具です。ノコギリとは異なり、切断したい部分にセットしてくるくると回転させるだけで、きれいに切断できます。給湯器まわりや水道管の補修・延長を行う場合に必要になります。
工具を揃えるときの予算感
「全部揃えると、いくらかかるの?」という疑問にもお答えします。以下は、あくまで目安ですが参考にしてください。
| 工具カテゴリ | 目安費用 |
|---|---|
| モンキーレンチ(精度の良いもの) | 2,000〜5,000円 |
| ウォーターポンププライヤー | 1,000〜3,000円 |
| 立水栓締め付け工具 | 1,500〜3,000円 |
| ドライバーセット | 2,000〜5,000円 |
| 六角レンチセット | 1,000〜3,000円 |
| ペンチ・ラジオペンチ | 1,500〜3,000円 |
| ハンマー(ゴム+金属) | 2,000〜4,000円 |
| コンベックス(メジャー) | 500〜2,000円 |
| 検電テスター | 1,000〜2,500円 |
| シールテープ(5本セット) | 500〜1,000円 |
| 充電式ドリルドライバー(セット) | 8,000〜20,000円 |
手工具だけであれば、総額15,000〜30,000円程度あれば揃えられます。ドリルドライバーまで含めると25,000〜50,000円程度が目安です。
一見高く感じるかもしれませんが、業者に水栓1本交換を依頼した場合、部品代を含めて15,000〜30,000円かかることも珍しくありません。つまり、工具代はたった1回の修理の節約で回収できる計算になります。
安全に作業するために必ず揃えてほしい「保護具」
工具リストと同じくらい大切なことをお伝えします。それは「保護具の着用」です。現場では「安全第一、確認第二、作業は第三」がわたしの口癖でした。DIYでも、この原則は変わりません。
以下は、作業前に必ず準備してほしいものです。
- 保護メガネ(ポリカーボネート製、飛来物・粉じん対策)
- 作業用手袋(ニトリルゴム手袋・革手袋など用途に合わせて)
- 防じんマスク(粉じんや粉末系シール材を扱う場合)
特に電動工具を使う際は「軍手は厳禁」です。軍手のほつれた糸が回転するビットに巻き込まれると、指の骨折や脱臼につながる重大事故になりかねません。電動工具を使うときは、フィット感の高いニトリルゴム手袋か、素手で作業してください。
保護メガネは、ホームセンターで500円〜1,000円程度から購入できます。「たった1度の作業で大ケガをした」という現実を現場で何度も見てきた私からは、この小さな投資を絶対に省いてほしくないと思っています。
これだけはプロに任せて!DIYできる範囲とできない範囲
工具を揃えたら何でも自分でできると思いがちですが、住宅設備には「法律上、有資格者でないと作業してはいけない範囲」があります。ここを間違えると、保険適用外になったり、最悪の場合は刑事罰の対象になることもあります。
国土交通省では、水道法に基づく水道工事の取り扱いを定めており、給水装置工事(水道管への直接接続)は指定給水装置工事事業者が行う必要があります。また、電気工事は電気工事士法に基づき、コンセントや配線に関わる作業は第二種電気工事士以上の有資格者でなければ行えません。ガスに関わる作業も同様で、資格なしでのガス管への直接接続は絶対に行ってはいけません。
DIYでできることの目安は、以下の通りです。
- 蛇口・水栓の交換(止水栓より先の部分、単純な付け替え)
- パッキン・カートリッジの交換
- シャワーヘッドの交換
- 止水栓の開閉・調整
- 洋式トイレのパーツ交換(フロートバルブなど)
- 排水口のお手入れ・詰まり解消
反対に、これらは必ずプロに依頼してください。
- 水道管(給水管・排水管)の新設・延長・撤去
- ガス管への接続・切断
- 電気の配線工事・コンセントの新設
- 給湯器本体の交換(ガス・電気の接続を伴うもの)
「どこまで自分でできて、どこからプロの領域か」を正確に知ることが、DIYにおける最大の知識です。
まとめ
住宅設備のDIYを安全かつ確実に行うために、まず揃えてほしい基本工具をまとめると次の通りです。
- モンキーレンチ(精度重視で選ぶ)
- ウォーターポンププライヤー
- 立水栓締め付け工具
- ドライバーセット(プラス・マイナス各種・短いタイプも)
- 六角レンチセット
- ラジオペンチ・ペンチ
- ハンマー(ゴム+金属)
- コンベックス(メジャー)
- 検電テスター
- シールテープ(消耗品・ストック必須)
- 充電式ドリルドライバー(10.8V〜18V)
そして忘れてはいけないのが、保護メガネや作業手袋などの「保護具」です。
一度工具を揃えてしまえば、あとはメンテナンスするだけで長く使えます。まず1つの作業を自分でやってみてください。「できた!」という体験は、あなたの住まいへの愛着を確実に深めてくれます。
次のステップとして、それぞれの工具の具体的な使い方や、実際の水栓交換の手順なども当ブログで詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。