こんにちは、住まいのDIYアドバイザーの設楽です。
「キッチンの蛇口から水がポタポタ漏れている」「レバーが固くなってきた」「そろそろ新しい水栓に変えたいな…」。そんなお悩みをお持ちの方、すぐに業者に電話する前に、ちょっと待ってください。
実は、キッチンの水栓交換は、正しい手順と工具さえ揃えれば、DIY初心者でも十分に挑戦できる作業なんです。私はかつて設備工事店の店主として、20年以上にわたって水回りの現場を見てきました。そのなかで常に感じていたのが、「これくらいなら自分でできたのに、もったいない」という思いです。
この記事では、キッチン水栓のDIY交換の方法を手順を追って丁寧にご説明します。さらに、交換で外した古い水栓の「その後」についても触れます。状態によっては買い取ってもらえることもあり、上手に活用すればトータルコストをグッと抑えられますよ。
目次
まず確認!キッチン水栓の「タイプ」を見極めよう
DIYで水栓を交換するうえで最初にして最重要なのが、「今ついている水栓のタイプを正確に把握すること」です。タイプの違う水栓を買ってしまうと、そもそも取り付けができません。私のところにも、「ホームセンターで買ってきたら合わなかった…」という相談が何件もありました。必ず事前に確認しておきましょう。
キッチン水栓には、大きく分けて次の3つのタイプがあります。
ワンホールタイプ(台付き・1穴)
現在のキッチンで最も一般的なタイプです。シンクの天板に取り付け穴が1つだけあり、そこに水栓本体を差し込む形で設置されています。シングルレバー混合水栓(1本のレバーで水量と温度を調整するタイプ)がこの形式に多く採用されています。見た目がスッキリしていて、DIYでの交換難易度も比較的低めです。
ツーホールタイプ(台付き・2穴)
取り付け穴が2つあるタイプです。水とお湯の給水管がそれぞれ独立しています。ワンホールに比べると構造が複雑ですが、手順を守れば交換は可能です。ただし、配管が見えているかどうか、点検口があるかどうかによって難易度が変わります。
壁付きタイプ
水栓が壁面に直接取り付けられているタイプです。主に古いキッチンや、一部のシンプルなキッチンで見られます。シールテープを使った配管接続が必要で、3タイプの中では最も難易度が高い部類に入ります。配管が壁の中に隠れている「隠蔽配管」の場合は、無理な作業をすると壁内の配管を傷める危険があるため、私としてはプロに依頼することをおすすめしています。
これも確認!本体交換 vs 部品交換の判断ポイント
水栓に不具合があるからといって、必ずしも本体ごとの交換が必要なわけではありません。部品交換だけで解決できる場合もあります。
| 症状 | 対処法の目安 |
|---|---|
| 吐水口からポタポタ水が垂れる | パッキンやカートリッジの交換で解決できる場合が多い |
| レバー根元からじわじわ水が漏れる | Oリングやパッキンの交換で対応できることが多い |
| レバーが極端に固い・ゆるい | 複数部品の劣化が考えられる。本体交換を検討 |
| 温度調整が全くきかない | 本体内部の機構の問題。本体交換が現実的 |
| 使用年数が10年以上 | 部品劣化が全体的に進んでいる。本体交換を推奨 |
一般的に、水栓の耐用年数は10〜15年程度とされています。10年以上使用していて複数の不具合が出ているなら、部品を交換してもまた別の箇所が壊れるケースが多いです。長い目で見ると、思い切って本体ごと新しくした方がコストパフォーマンスが良いことも少なくありません。
DIY交換に必要な工具と費用の目安
必要な工具リスト
工具は、ほとんどがホームセンターやネットショップで手に入ります。ワンホールタイプであれば、基本的な工具だけでほぼ対応できます。
- モンキーレンチ(給水・給湯管のナットを外す)
- マイナスドライバー(止水栓を閉める)
- プラスドライバー(部品の固定に使用)
- 六角レンチ(水栓本体付属のものでOK)
- シールテープ(壁付きタイプの場合は必須)
- バケツ・タオル(残留水の受け止め用)
- 養生シートやダンボール(床や周辺の保護)
ツーホールや取り付けスペースが狭い場合は、「立水栓取付レンチ」(シンク裏の狭い場所での作業用)があると格段に作業しやすくなります。
DIYと業者依頼の費用比較
| 項目 | DIY | 業者依頼 |
|---|---|---|
| 水栓本体 | 1万〜3万円程度 | 同上(業者調達の場合は交渉次第) |
| 工事費 | 0円(ただし工具購入費が発生する場合あり) | 1万〜3万円程度 |
| 作業時間 | 初心者で3〜4時間 | 30〜60分 |
| 合計の目安 | 1万〜3万円程度 | 2万〜6万円程度 |
業者に依頼する場合の工事費は、一般的に1万円〜3万円程度が相場です。浄水器一体型やタッチレス水栓など、複雑な機能を持つ水栓の場合はさらに上がることがあります。くらしのマーケットなどを利用すると、ワンホール混合栓の交換で工事費込み1.7万円〜という事例も見受けられます。
DIYであれば工事費は0円ですが、工具を持っていない場合は購入費がかかります。モンキーレンチやドライバーといった基本工具は今後も使えますし、DIYの達成感も加味すると、挑戦する価値は十分にあります。
いよいよ実践!ワンホール混合水栓の交換手順
ここでは最も一般的なワンホールタイプの交換手順を詳しく解説します。賃貸住宅の場合は、交換前に必ず大家さんや管理会社に確認してから作業してください。
作業前の準備
まず、シンク下の収納スペースに入っているものを全部取り出してください。意外と荷物が多くて作業スペースが取れないことがあります。床には養生シートかダンボールを敷いて、傷や汚れを防ぎましょう。バケツとタオルも手元に用意しておいてください。
手順1:止水栓を閉める
シンク下を開けると、給水管(水色や無印)と給湯管(赤色)の2本のホースがつながっているはずです。それぞれに止水栓がついている場合は、マイナスドライバーで時計回りに回して閉めてください。止水栓がない場合は、水道の元栓を閉めましょう。元栓は、アパートやマンションなら玄関付近のメーターボックス内、戸建てなら水道メーター付近にあります。
止水後、蛇口を開いて水が出なくなったことを確認してから次の作業へ進んでください。
手順2:給水・給湯ホースを取り外す
シンク下のホース接続部にバケツかタオルを当てておいてください。ホースを外すと配管内の残留水が少し流れ出てきます。モンキーレンチを使い、接続ナットを左回し(反時計回り)に回して緩め、ホースを外します。
手順3:古い水栓本体を取り外す
水栓本体はシンク下のナット(六角ナットや固定ナット)で固定されています。レンチで緩めてナットを取り外し、上から水栓本体を引き抜きます。固くなっている場合は無理に引っ張らず、ナットが完全に外れているかもう一度確認してみてください。
手順4:取り付け穴周辺を清掃する
古い水栓を取り外したら、取り付け穴の周辺をきれいに拭き取りましょう。水垢や汚れが残っていると、新しい水栓の密着が悪くなり、水漏れの原因になります。古いシールテープの残りがあれば、丁寧に取り除いてください。
手順5:新しい水栓を取り付ける
新しい水栓本体を穴に通し、付属の六角レンチで固定ナットをしっかりと締め付けます。このとき、水栓が正面を向いているかしっかり確認してから締めてください。締めてしまったあとに向きを調整するのは難しくなります。
手順6:給水・給湯ホースを接続する
ホースを接続する際は、向きを間違えないように注意してください。給水(冷水)側と給湯(お湯)側を逆に接続すると、温度調整が逆になってしまいます。接続後はナットをしっかり締め、ゆるみがないか確認します。
手順7:止水栓を開けて動作確認
ゆっくりと止水栓(または元栓)を開け、水を流してみてください。接続部から水漏れがないか、レバーの動きは正常か、お湯と水の切り替えは正しく機能しているかを丁寧に確認します。問題がなければ交換完了です!
東京ガスのウェブサイトでは、水栓のタイプ別の詳細な交換手順が図解入りで紹介されています。作業前に一度水道蛇口・水栓の交換方法(東京ガス)を確認しておくとより安心です。
DIYで失敗しないための注意点
長年の現場経験から、DIY交換でよく起きるミスをいくつかお伝えしておきます。
- 購入する水栓のタイプをよく確認すること(ワンホール・ツーホール・壁付きは互換性なし)
- 元栓・止水栓を閉めずに作業を始めてしまう(水が噴き出します)
- ナットの締め付けが甘く、後から水漏れが起きる
- ホースの接続向き(給水・給湯)を誤る
- 壁付きタイプのシールテープを巻く向きを間違える(時計回りに巻くのが正解)
「少し水漏れしているけど、様子を見よう」と放置するのが一番危険です。下の階への水漏れや、シンク下のカビ・腐食につながります。作業後の確認は必ず念入りに行ってください。
プロに任せるべき作業とは
DIYで対応できる範囲と、プロに依頼すべき作業の境界線を明確にしておくことが大切です。私は「安全第一、確認第二、作業は第三」という信条でやってきました。
次のケースは、DIYでの対応を避けてください。
- タッチレス水栓(電気工事が伴う場合)
- 壁付きタイプで配管が壁内に隠れている(隠蔽配管)
- 点検口がなく、キャビネットの撤去が必要なケース
- 水栓の取り付け穴のサイズや位置を変更する工事
- 配管自体の腐食・老朽化が見られる場合
電気を伴う工事には「第二種電気工事士」などの資格が必要です。資格なしで作業を行うことは法律違反となるうえ、感電や火災のリスクもあります。また、大掛かりな配管工事は「給水装置工事主任技術者」の資格を持つ指定業者が行う必要があります。「これ、ちょっとおかしいな」と感じたらすぐに手を止めるのが、結果的に最も賢い判断です。
外した古い水栓、捨てる前に考えてみて
水栓を交換したあと、外した古い水栓を「ゴミ」として処分しようとしていませんか?私はかつて「これ、まだ使えるのに」と思いながら廃棄していく水栓を何度も見てきました。状態によっては、買い取ってもらえる可能性があります。
どんな水栓が売れやすい?
買取の対象として価値が高いのは、主に次のような水栓です。
- 新品・未使用品、または未開封品
- 製造から年数が浅く、状態の良い中古品
- TOTO・LIXIL(リクシル)・KVKなど、人気メーカーのもの
- タッチレス水栓・浄水器一体型など、機能性の高いモデル
- 型番が明確でパーツが揃っているもの
一方、使用年数が長く、内部のパッキンやゴム部品の劣化が進んでいる中古品や、水漏れ・破損のあるものは、買取が難しいケースが多いです。ただし、いきなり諦めず、一度査定に出してみることをおすすめします。
買取・売却先の選択肢
住宅設備専門の買取業者(宅配買取)
水栓に特化した専門業者は、一般のリサイクルショップより詳しく、適正な価格を出してもらいやすいのが特徴です。代表的なところをご紹介します。
- ファーストハンズ(水栓買取専門):中古品の買取も積極的で、全国から宅配買取に対応。TOTOのシングルレバー混合栓新品5,500円〜、カクダイのシャワー付き混合栓中古品4,000円などの実績があります。
- 買取大王:TOTO・LIXIL・KVK・カクダイなど主要メーカーを幅広く取扱い。事前査定にも対応しています。
- コシノ本舗:TOTOを特に高価買取。宅配買取で当日振り込みにも対応。
- ツールオフ:電動工具専門店としての強みを活かした買取対応。水栓も全国対応で取り扱い。
フリマ・オークションサービス
自分で値段をつけて売りたい方には、メルカリやヤフオクが選択肢になります。TOTOやLIXILの水栓は、メルカリでは350円〜144,000円と状態や機能によって幅広く取引されています。新品・未使用品であれば、業者買取よりも高値になる可能性があります。
ただし、梱包・発送の手間がかかること、取引トラブルのリスクがあることも念頭に置いておいてください。
ジモティー(地元での譲渡・売買)
近隣の方に直接譲渡または格安で売る方法です。送料がかからない分、双方にメリットがあります。「使えるものを無駄にしたくない」という方にはぴったりの選択肢です。
少しでも高く売るためのコツ
- 取り外したらすぐに水気を拭き取り、清潔に保管する
- メーカー名・型番を把握しておく(水栓本体に記載されていることが多い)
- 付属品(施工説明書、取付部品など)が揃っているほど査定額が上がりやすい
- 複数の業者に見積もりを取って比較する
- 衛生品のため、丁寧な梱包が査定額に影響することがある
まとめ
キッチン水栓のDIY交換は、正しい知識と手順があれば、初心者でも十分挑戦できる作業です。工事費の1万〜3万円を節約できるだけでなく、自分で住まいを手入れする達成感と、住まいへの理解を深める良い機会にもなります。
大切なのは、「自分でできる作業の範囲を見極めること」です。電気工事を伴う作業や、大掛かりな配管工事は有資格者であるプロに任せる。この線引きを守ることで、安全に、そしてトータルコストを抑えながらDIYを楽しむことができます。
また、交換で外した古い水栓も、ゴミにする前に一度買取業者やフリマアプリに相談してみてください。思いがけない金額がつくことがあります。使えるものを最後まで活かしきる。それもまた、賢い住まいの手入れのひとつです。
「やってみたら、できた!」。そんな声を、一件でも多く聞けることを楽しみにしています。
