キッチン設備

ビルトインコンロの交換、自分でできる?プロが教える手順と注意点

こんにちは、住まいのDIYアドバイザーの設楽です。

「うちのビルトインコンロ、最近火の付きが悪くて…」「もう10年以上使ってるんだけど、交換って自分でできるの?」

こんな相談をいただくことが、本当に増えました。ビルトインコンロはシステムキッチンに組み込まれている分、テーブルコンロのように「ひょいと載せ替え」というわけにはいきません。でも、正しい知識を持っていれば、作業の一部を自分で行って費用を節約することは十分に可能です。

ただし、ここだけは先にはっきりさせておきます。ガス管の接続だけは、絶対に自分でやってはいけません。法律で禁止されていますし、命に関わります。

この記事では、20年以上住宅設備の現場に立ってきた私が、ビルトインコンロの交換について「どこまでが自分でできる範囲なのか」「プロに任せるべき作業は何か」を、具体的な手順とともにお伝えしていきます。

ビルトインコンロの交換、結論から言います

まず、皆さんが一番知りたいことから。

ビルトインコンロの交換は、「本体の入れ替え作業」と「ガス管の接続作業」の2つに分かれます。このうち、本体の入れ替え作業については法律上の資格は必要ありません。ガス管の接続には必ず有資格者の作業が求められます。

つまり、「自分で古いコンロを外して新しいコンロを設置し、最後のガス接続だけプロに頼む」という”半DIY”が現実的な選択肢です。

ガス管の接続には資格が必要です

ここは安全に関わる話なので、しっかり説明させてください。

東京ガスの公式サイトでも明確に解説されていますが、ビルトインコンロのガス接続には以下の資格が必要です。

ガスの種類必要な資格資格の区分
LPガス(プロパン)液化石油ガス設備士国家資格
都市ガスガス可とう管接続工事監督者日本ガス機器検査協会認定

無資格でLPガスの接続を行った場合は、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法)により、3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

ガス漏れによる爆発や火災、一酸化炭素中毒のリスクを考えれば、罰則以前の問題です。ここだけは絶対にプロに任せてください。

DIYでできることと、できないことの線引き

実際の作業を「自分でできる範囲」と「プロに任せる範囲」に分けると、こうなります。

自分でできる作業(資格不要)

  • ガスの元栓を閉める
  • ガスホースの取り外し
  • 五徳やバーナーキャップ、化粧板の取り外し
  • 天板(トッププレート)の取り外し
  • 本体の引き抜きと取り出し
  • 開口部の清掃
  • 新しいコンロの本体設置と固定
  • 五徳やバーナーキャップの取り付け

プロに依頼すべき作業(有資格者のみ)

  • ガス管への最終接続
  • ガス漏れ検査(専用機器が必要)
  • 電池式からコンセント式への電源変更(電気工事士の資格が必要)
  • ガスコンロからIHへの変更(200V電源の配線工事が必要)

交換前に必ず確認すべき3つのポイント

新しいビルトインコンロを購入する前に、必ず確認してほしいことが3つあります。ここを間違えると、せっかく買ったコンロが設置できないという事態になりかねません。

ガスの種類を確認する

ご自宅のガスが「都市ガス(12A/13A)」なのか「LPガス(プロパンガス)」なのかを確認してください。ガスの種類を間違えたコンロを設置すると、不完全燃焼を起こして非常に危険です。

確認方法は簡単で、今使っているコンロの銘板シール(本体側面や裏面に貼ってあります)に記載されています。ガスメーターや毎月のガス料金の明細書でも確認可能です。

天板のサイズを確認する

ビルトインコンロの天板サイズは、主に60cm75cmの2種類。日本ガス石油機器工業会(JGKA)によると、45cmのコンパクトタイプも存在しますが、一般家庭で見かけることはほとんどありません。

ここで注意してほしいのが、60cmから75cmへのサイズ変更です。消防法の規定で、レンジフード(換気扇)の幅はコンロの天板幅以上でなければなりません。60cm用のレンジフードのまま75cmのコンロを入れると、法令違反になる場合があります。

同じサイズ同士の交換であれば、この問題は発生しません。

開口部の寸法を確認する

ビルトインコンロは「天板のサイズ」と「本体のサイズ」が別物です。天板が60cmでも75cmでも、キッチンカウンターの開口部に収まる本体部分の幅は基本的に共通規格になっています。

ただし、古い機種や海外メーカー品の場合はサイズが異なることもあるので、開口部の幅・奥行き・高さは事前に測っておきましょう。天板から操作部の下端までの高さが22cm前後であれば、現行モデルのほとんどが適合します。

ビルトインコンロの交換手順

ここからは、実際の交換手順を説明します。「半DIY」で進める場合の流れです。

用意する工具

  • プラスドライバー
  • モンキーレンチ(ガスホースの取り外しに使います)
  • 軍手(本体は約30kgあるので、滑り止め付きが安心)
  • マスキングテープ(天板周りの養生用)
  • 掃除用のウエスやエタノール(開口部の油汚れ落とし)

古いコンロの取り外し

作業は必ず2人以上で行ってください。本体の重さは約30kg。狭いキッチンで一人で持ち上げると、腰を痛めるか、最悪キッチンカウンターを傷つけます。

手順は以下の通りです。

  1. ガスの元栓(ガスコック)を完全に閉める
  2. ガスホースをモンキーレンチで取り外す(ホース内に残ったガスが出ることがあるので、換気を十分に)
  3. 五徳、バーナーキャップ、排気口カバーなどの上部パーツを外す
  4. 天板を固定しているネジ(通常4ヶ所)を外し、天板を持ち上げて取る
  5. 本体側面の固定金具やネジ(左右に各2ヶ所が一般的)を緩める
  6. 本体を「上斜め後方」に向かってゆっくり引き抜く

6番目の「上斜め後方に引き抜く」が、一番コツが要るところです。真上に持ち上げようとすると、ガス管や背面の部品に引っかかります。少し手前に傾けながら、斜めに持ち上げるイメージで抜いてください。

開口部の清掃

本体を取り出すと、長年たまった油汚れやホコリが大量に出てきます。10年分の汚れは、なかなかの光景です。

新しいコンロを入れる前に、この開口部をしっかり掃除しておきましょう。エタノールやキッチン用の中性洗剤を使えばきれいになります。この清掃をサボると、汚れが新しいコンロの設置精度に影響したり、害虫の温床になったりします。

新しいコンロの設置

取り外しの逆の手順で進めます。

  1. 新しい本体を開口部に斜めから差し込み、水平に収める
  2. 固定金具やネジで本体をキッチンカウンターに固定する
  3. 天板を載せてネジで固定する
  4. バーナーキャップ、五徳、排気口カバーを取り付ける

ここまでが、自分でできる作業の範囲です。

ガス接続はプロに依頼する

本体の設置が終わったら、ガスの接続と最終チェックはプロに依頼します。

事前にガス会社や設備業者に「コンロ本体は自分で設置したので、ガス接続だけお願いしたい」と伝えれば、対応してくれる業者は見つかります。接続作業自体は30分程度で終わることが多いです。

接続後、専用の検知器でガス漏れがないかを確認し、実際に点火して正常に動作するかをチェックしてもらいましょう。

交換にかかる費用の相場

ビルトインコンロの交換費用は、コンロのグレードによって大きく変わります。

グレード工事費込みの総額目安主な特徴
ベーシック5万〜11万円基本機能を備えたシンプルなモデル
ミドル10万〜15万円ガラストップ天板、グリル機能が充実
ハイグレード15万〜25万円自動調理、アプリ連携、高い清掃性

工事費の内訳は、既存コンロの撤去費が約5,000円、新品の設置費が約10,000円、ガス接続費が約5,000円、動作確認が約3,000円、といったところが標準的です。古いコンロの廃棄処分費として別途3,000〜8,000円かかるケースもあります。

「半DIY」の場合は、この工事費のうち撤去費と設置費を浮かせることができます。ガス接続と動作確認だけの依頼であれば、8,000〜15,000円程度で済むケースが多いです。

なお、ガスコンロからIHクッキングヒーターに切り替える場合は、本体代に加えて200V電源の配線工事が3万〜5万円ほど追加で必要になります。IH化を検討している方は、分電盤の空きスロットや電気容量もあわせて確認しておくと、後から「工事ができない」という事態を防げます。

半DIYならどのくらい節約できる?

全部プロに任せた場合と半DIYの場合を比べてみます。

ミドルグレードのコンロ(本体約10万円)を例にとると、プロに全工程を依頼した場合の工事費は2万〜3万円程度。半DIYでガス接続のみ依頼すれば8,000〜15,000円ほどで済むので、差額は約1万〜2万円の節約になります。

金額だけを見ると「そこまで大きくないな」と感じるかもしれません。ただ、自分の手でキッチンの設備を交換できたという経験は、今後の住まいのメンテナンスに対する自信につながります。私がDIYをすすめる本当の理由は、実はそこにあります。

交換時期の見極め方

ビルトインコンロの寿命は、一般的に8〜10年が目安です。丁寧にメンテナンスすれば15年以上使える機種もありますが、10年を超えるとメーカーの部品保有期間が終了し、修理対応が難しくなります。

こんな症状が出たら交換のサイン

東京ガスの公式コラムでも解説されていますが、以下の症状が出たら交換を検討してください。

  • 点火ボタンを何度押しても火が付かない、または付いてもすぐ消える
  • 火力の調整がうまくできなくなった
  • ガスの臭いがする(不完全燃焼の可能性あり)
  • 炎の色が青ではなく赤やオレンジになっている
  • グリル使用時に異常な煙が出る

特に炎の色が赤やオレンジに変わっている場合は要注意です。これは不完全燃焼を起こしているサインで、一酸化炭素中毒の原因になります。すぐに使用を中止して、ガス会社に連絡してください。

2008年以前のモデルは早めの交換を

2008年10月以降に製造された家庭用ガスコンロには、法律で「Siセンサー」の搭載が義務付けられています。鍋底の温度が約250℃を超えると自動的に火力を下げ、それでも温度が上がり続ける場合は消火する安全装置です。

2008年以前のモデルにはこの機能がありません。まだ使えていたとしても、安全面を考えると早めの交換をおすすめします。

古いビルトインコンロは売れる?処分方法と買取のコツ

交換で取り外した古いビルトインコンロ、そのまま業者に廃棄を任せていませんか。実は、状態の良いものであれば買い取ってもらえるケースがあります。

買取が成立する条件

買取業者が重視するポイントは、主に以下の3つです。

  • 製造から5年以内であること
  • 正常に動作する(故障していない)こと
  • 天板や五徳に大きなキズや欠けがないこと

付属品(取扱説明書、元箱、グリル皿など)が揃っていると査定額がアップします。逆に、故障品や天板が割れているものは買取不可となることがほとんどです。

査定を受ける前に、天板の油汚れや五徳のこびりつきをきれいに落としておくだけでも印象は変わります。日頃からの手入れが、最終的な買取額にも響いてくるということです。

メーカー別の買取相場

あくまで目安ですが、状態の良い中古品であれば以下の価格帯で買い取ってもらえる可能性があります。

メーカー買取価格の目安
リンナイ10,000〜80,000円
ノーリツ8,000〜100,000円
パロマ6,000〜40,000円
ハーマン5,000〜30,000円

特にリンナイの「デリシア」やノーリツの「プログレ」といったハイグレード機種は、中古でも高値が付きやすい傾向にあります。新築やリフォームで取り外した未使用品であれば、さらに高額査定が期待できます。

住宅設備の買取に特化した専門業者に相談するのが、高値で売るための近道です。たとえば買取RECOのような買取専門業者であれば、IHコンロやガスコンロをはじめ、給湯器やウォシュレットなど幅広い住宅設備の査定に対応してもらえます。

「どうせ処分費用がかかるもの」と思い込んでいた古いコンロが、実はお金に変わる。交換費用の実質負担を少しでも減らすために、捨てる前にまず査定を検討してみてください。

まとめ

ビルトインコンロの交換は、本体の取り外しと設置までであれば自分で行うことが可能です。ただし、ガス管の接続だけは必ず有資格者に依頼してください。ここを守れば、「半DIY」で工事費を大幅に抑えることができます。

交換にあたって押さえておきたいポイントを整理すると、

  • ガスの種類(都市ガス/LPガス)と天板サイズ(60cm/75cm)は購入前に必ず確認する
  • 本体は約30kgあるので、作業は必ず2人以上で
  • 8〜10年が寿命の目安。炎の色が赤い場合はすぐ使用を中止する
  • 2008年以前のSiセンサー未搭載モデルは、安全のために早めの交換を
  • 取り外した古いコンロは、状態次第で売却できる可能性がある

「自分でやってみたいけど不安」という方は、まず交換前の確認作業だけでも自分で行ってみてください。ガスの種類やサイズを調べるだけで、業者とのやり取りがスムーズになりますし、見積もりの内容も理解しやすくなります。

正しい知識が、最大の節約。皆さんのキッチンが、もっと快適で安全な場所になることを願っています。

こんにちは!住まいのDIYアドバイザーの設楽です。「給湯器の調子が悪い…」「キッチンの蛇口から水がポタポタ…」 そんな時、すぐに業者を呼んでいませんか?もちろん、それも一つの手です。でも、その作業、もしかしたらあなたの手で、もっと安く、そして楽しく解決できるかもしれません。このブログは、そんなあなたの「自分でやってみたい」という気持ちを、プロの知識と経験で全力でサポートするための場所です。安全のためのルールさえしっかり守れば、DIYは最高の節約になり、あなたの住まいをもっと好きになるきっかけになります。さあ、工具を手に取って。あなたの家の「できた!」を、一緒に増やしていきましょう。